
さてヨガ初心者のための準備になるやさしい弛緩練習を始めましょう。
出来るだけ、朝と夕方の二度行なうと効果が実感できます。
これから覚える頭の運動と、頭の回転を朝行えば、主として硬い身体をほぐし、眠気をさます効果があります。
一日の仕事を終え、夕方行えば、疲れでこわばった身体を弛緩させ、顔、首、肩にあるさまざまな緊張を解きほぐします。
今回、とりあげた頭・顔・首の部分は、心が緊張すると、緊張しやすいところです。
前回の記事では、身体の内部が動くと、身体の外部がそれに応じた変化をするという説明をしました。
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これから行う弛緩練習では、外部を動かして内部の緊張を弛緩させます。
ヨガの初心者だけでなく心に留めておくべき大事なことは身体と心のつながりを感じる経験も、意識も、瞑想も、すべて身心相関の関係にあるということです。
ヨガ ポーズのコツ
これから練習するあらゆるポーズもつぎのように進めます。
姿勢を保っている時、特にもどした時に、ヨガでプラーナと呼ぶ生命力を感じとる。
それでは、以上のことを頭に入れてから、始めましょう。
第1ポーズ:頭の前曲げ
あぐらの姿勢で坐り、背筋を伸ばします。
別の坐り方が楽な人は、それでもさしつかえありませんが、ここでは背筋を伸ばして坐ります(頭と首の曲げ、回転ができれば、椅子に腰かけた姿勢でもよい)。
良い姿勢3つのポイント
1.背筋を伸ばすこと
2.楽な姿勢をとること
3.硬くならないこと
これは自然にそうなるはずですから、それほど気にする必要はありまサんが、背筋を伸ばして、上体を垂直に近く保つよう気をつけてください。
それでは、きわめてゆっくりと、頭を前に倒してみましょう。
電車などの乗物に揺られて、うとうとしているうちに、寝込んでしまうことを想像してみてください。
頭はひとりでに重くなってしだいに前にさがっでゆきます。
自然の引力の助けをかりるだけでよいのです。
首が硬い人は、無理をせずに、一度もどしてやると、首は自然に弛緩し、しだいに前に倒れてゆきます。
気分よくできるなと思ったら、ゆっくりと静かに両腕をあげ、頭を前に倒したときに一番高くなる後頭部を両手で押します。
後頭部に当てた指は、力を抜き、肩と腕をリラックスさせ、無理に力を入れたり、頭を押しさげたりしないで、腕の重さで頭が前に倒れるのにまかせましょう。

指に軽く力を入れるのはよいのですが、無理な力をかけてはいけません。
初期のうちは、この簡単で重要、かつ効果的な実技に相当な時間をかけるべきでしょう。
頭の運動のひとつひとつに、少なくとも5~6秒はかけます。30秒ないしそれ以上長く続ければ、効果も大きくなります。
ヨガのポーズの大事な基本とやり方
頭の前曲げはヨガ・ムドラーや肩の逆立ち、その他のポーズの準備になります。
体の内部に起きた変化をよく確認しましょう。
準備練習と同じく、緊張があるかどうかに注意を払いながら、体の部分をひとつずつ感じとり、意識することが大切です。
首の後部全体、脊椎のどこかに緊張があるかどうか感じとってください。
たとえば脊椎のどのくらい下まで緊張がとどくかを感じとります。
どのくらい下まで緊張がとどいていますか?
もし首を充分に曲げていれば、背中の中央近くまで刺激されるに違いありません。
喉への刺激、収縮、圧迫も感じとってください。
顔もリラックスさせましょう。通常は目を閉じて行います。
それでは充分な弛緩とリラックスが得られたことに満足できたら、きわめてゆっくりと、頭をあげます。
手もゆっくりおろして膝の上に置きます。
まだ緊張が残っている可能性があるので、もとの姿勢にもどるときに、体の内部の変化に意識を集中し、本当に充分なリラックス状態かどうか調べます。
あまり急に早い動きでもどると、意識の集中ができなくなり、実技の大切な面を見逃す恐れかあります。
しばらく坐り続けて、自分が感じていることに注意を向けましょう。
第2ポーズ:頭の後ろ曲げ
つぎに頭をきわめてゆっくり後ろに倒します。
いま練習したばかりの前曲げと同じく、首が硬いときは、無理に大きく曲げる必要はなく、もっと楽な感じになるまで、わずかに首をもどします。
これはどんな場合にも通用する方法で、体の硬さはすぐに消え、緊張もなくなります。
ヨガの初歩段階として、いま頭と首について学んでいることは、これからのあらゆるヨガのポーズや運動に当てはまることですから、自分自身に充分な注意を払い、自分をよく観察してください。
これらは全部きわめて重要なことなのです。
頭を後ろに曲げるとき、痛みを感じたら口を少し開いてもよいでしょう。
弛緩が起きる感じをつかめるようになると、痛みはなくなり、体が自然に慣れてきますから、少しずつ口を閉じ、歯も合わせ、あごを上に押しあげて、喉を強く上へ伸ばします。
あごを上に押しあげ、後頭部を下にさげますが、このとき無理な力を加えないでください。
このポーズを少なくとも6秒は保ちますが、気持よくできるなら、30秒から1分間に延ばします。
喉の引っぱりと伸ばしの感じをよくつかみ、伸ばしが胸まで伝わるようにしてください。
どのくらい下まで伝わりますか、どんな感じがしますか?
自分に問いかけ、自己を感じとるのですが、感じを想像によってでっち上げてはいけません。
額をリラックスさせ、顔もリラックスさせます。
首の後ろの圧迫感を感じとってください。
非常に気持のよい感じになるはずです。
肩、腕、その他の部分はリラックスしていますか?
それでは、きわめてゆっくりと、もとの姿勢にもどり、リラックスし、しばらくの間自分か感じていることに注意を向けましょう。
ヨガのコースを学んだあとでも、実技を開始するときは、前記のような弛緩練習を行います。
それ自体に効果があるだけではなく、準備としての役割を果たすと同時に、伝統的。なポーズの重要な部分をなしています。
頭の後ろ曲げはコブラのポーズや体を後ろに伸ばすポーズへの準備になります。
第3ポーズ:頭のねじり
さて頭のねじり運動は、頭を静かにねじりながら横に回すだけです。
頭の上下に棒を通し、その垂直軸を中心に頭をねじる、つまり回転させると思ってください。
肩をリラックスさせ、頭の動きと反対の方向に肩を押しだしたり、力を入れたりしないよう充分気をつけます。
肩と上体は受身でいるのがよく、動かさないことです。
片側には圧迫感を、もう片側と首には伸ばしの感じを同時に感じとってください。
目、顔全体はリラックスしていますか?
頭を回して後ろを見るとき、目は開けたままですが、目の周囲を緊張させてはいけません。
日常生活では頭を回しても、目を思いっきり左右に動かさないため、すぐれた目の運動になります。
目の負担が強すぎるとき、目が痛いときには、目を閉じてもよいでしょう。
前と同じようにゆっくりもとにもどし、リラックスし、反対側に回します。
私は普段右から始めて左に移りますが、好きな方から始めてください。
頭のねじり運動を終え、しばらくリラックスすれば、脊椎のねじり、脊椎の伸ばしとねじりやその他のポーズの充分な準備運動をしたと同時に、それらの重要な部分を行ったことになります。
第4ポーズ:頭と首の横曲げ
顔を正面に向けたまま、頭を静かにゆっくり真横に曲げます。
ここでもその他のときも、鏡を見ながら自分をチエックすることをおすすめします。
実際に少し横に曲げてみると、自分では顔が前に傾いたような気がするものです。
注意すべき点は、首の側面と肩が充分に伸び、充分に引っぱられることです。
ただしこの練習は特に注意深く行うよう気をつけてください。
痛みを感じることもあり、そのとき無理な力を入れないことが大切で、横に極端に曲げる必要はありません。
ヨガを始めたばかりの人が、上手に弛緩するには2~3週間かかるでしょう。
無理なガを入れなくても、根気よく続ければ、ひとりでに曲るようになります。
つねにもっともっとリラックスするよう努力すること、頭がもっともっと曲ると思いこむことが大切です。
肩をあげずに肩に耳をつけるつもりで首を曲げます。
ゆっくりもどし、反対側にも同じように曲げ、もどしてリラックスします。
ヨガは対称性と均衛を重んじてますので、片方だけやって、もう片方をそのままやらずに残してはいけないのです。
もとの位置にもどしてから、そこで少し止めて、自分が感じでいることを確認し、反対側へ静かに曲げます。
最初の¬週間から1~2か月ぐらいは、頭をまっすぐにしたとき、中間でしばらくリラックスするのがよい方法だと思います。
第5ポーズ:頭の回転
これで首の周囲は、かなり弛緩してきたはずです。
それでもわずかに残った体の硬さや緊張は、この首の回転運動が取り除いてくれます。
カを入れないでも頭の重みで前へ前へと倒れ、頭がどんどん重くなります。
頭をきわめてゆっくりと前に倒します。
頭が非常に重くなってゆきます。
つぎに時計方向(または反対方向)にゆっくり回し始めます。
頭を回しながら、頭の反対側、つまり首の前後左右の伸びがどの程度か感じとりましょう。
急激な動きは禁物で、ごくゆっくり回します。
口を閉じ、歯を合わせます。
頭を横から後ろに回すときは、あごの下をよく伸ばしてぐださい。
頭を回している途中で少し体の硬い箇所、痛みを感じる箇所にきたときは、一時そこで動きを止め、その部分が充分に伸び切る感じが得られるまで、6秒以上その姿勢を保ちます。
たとえ少し痛みを感じたとしても、痛みが少なくなり、やがて消えてしまいます。
いつでもこのような方法を用いますから、しっかり覚えておいてください。
今の方法を使うと魔法でも使ったように、体の硬さが少なくなり、どんな痛みも消え去ってしまいます。
これで充分だと思ったら、ゆっくりつぎの動作に移ります。
もし再度硬い箇所、痛い箇所があれば、もう一度止め、その姿勢を保ちます。
弛緩すれば、痛みはなくなり、体の柔軟性とくつろぎが得られます。
痛みを感じることが数回は起こると思います。
痛みがなければ続けて首をゆっくり回します。
最後に頭が前にもどりますが、リラックスして前に倒れた状態になります。
最初の数日間は頭を回しながら数を数えるのもよい方法です。
この方法を使うと、精神的にリラックスすると思います。
ゆっくり動かしていると思っていても、実際は早すぎることがよくわかります。
頭を前から横に回すのに5秒かけるつもりでも、半分の時間もかかっていないことがあります。
できれば1回転に20秒ぐらいはかけたいところです。
とても20秒もかけられないという人は、自分が可能な範囲内でゆっくり回し、少しリラックスしてから、もう一度くり返します。
この方法は他の実技にも適用できるでしょう。
全部を正確に、ゆっくりやると、首を1回転するのに30~60秒かかります。
上手に行えば、顔、額、首から、肩、上体までにおよぶ緊張や硬い筋肉が弛緩します。
刺激を受けて新鮮な血液が循環し始め、顔、頭、首の細胞に新しい生命と栄養が補給されます。
顔、目、唇、頬、喉もリラックスさせましょう。
一巡して顔が前にもどったら、顔をゆっくりとまっすぐに起こし、坐ってリラックスします。
動作は非常に簡単ですが、ヨガの実技として正しく行えば、非常に強い運動です。
まとめ
ヨガの練習はすべて同じ特徴をもっています。
やさしく見えるからといって、強さがなく、効果もないことにはなりません。
簡単な運動が、頭、目、耳、鼻孔、脳、喉、甲状腺、副甲状腺に刺激を与えます。
脳の基部にある延髄も刺激されたはずです。
脊椎の上部、中部にも刺激が達したと思います。
緊張があると、エネルギーを浪費します。
従ってヨガではまず第一に、緊張から生じるエネルギーの浪費を防止することを学ぶ必要があります。
第2に、自己の身心を強化し、内部でエネルギーを作り出すことを少しずつ覚える必要があります。
リラックスしながら、生き生きとして活気に溢れていること、生きている喜びを感じることが望ましいのです。
さて頭の個別運動と回転を完了したら、張りつめた活気ある状態で少なくも6秒、できればそれ以上自分を観察しましょう。
呼吸はおだやかで正常な速さで行うか、あるいは深目でゆっくり行います。
自分を観察しましょう。
自分の感覚に注意を向けます。
あなたの内部にどんな変化が起こっていますか?
それはどんな感じですか?
いま刺激を与えたばかりの体の部分を自由に流れているエネルギー、力、スタミナを意識し、感じとってください。
緊張は体の中のエネルギーの流れを妨げ、ストップさせます。
もうそのような妨害物はありませんから、ヨガの技法によってエネルギーをつくりだしているのです。
特にいま刺激を加えたばかりの部分には、生命力と活力が満ち溢れていることでしょう。
ここではヨガ初心者のための準備ポーズとして頭・顔・首の弛緩というごく簡単な基本ですが、そこには、これから学んでいくヨガの非常に大切なことが含まれています。
このことをしっかりと心にとめて練習すれば、独学でも素晴らしい効果が得られることでしょう。